機械学習を用いた細胞の形態を指標とした老化度の定量的な判定

機械学習を用いた細胞の形態を指標とした老化度の定量的な判定

MSC(間葉系幹細胞)は継代数を重ねると老化し、細胞増殖能を含めた一部の生物学的活性が低下します。

ポイント

機械学習(マシンラーニング)により、細胞画像の分類や識別を安定して行うことが可能になります。熟練者による個人的な経験や目視による判断に頼ったりせずに判断することが可能となり、作業者による判断基準が揺らいだりすることがなくなります。分類や識別するための明確な指標の決定が難しい場合でも、前もって正解データを準備して学習させることにより、判定の自動設定が可能となります。

概要

機械学習とは、データ(学習データ)を機械(コンピュータ)に学習させ、そのデータの分類基準もしくは認識方法を機械に見つけ出させる手法です。
一般的に、ヒトの正常組織由来の細胞は、継代を重ねると老化し、細胞増殖能が低下し、形態も変化します。老化の判断として、老化に伴い過剰発現するβガラクトシダーゼをX-gal染色(老化マーカー染色)によるり検出する方法が広く知られています。臨床用サンプルなどの場合、細胞がどの程度老化したら培養を中断するか、などの判断を確定させるためには、一定の基準を作る必要があります。
そこで、機械学習に入力するデータとして、あらかじめ熟練者により老化/非老化細胞に分類した細胞の画像や、あるいは上記のようなマーカー染色により正解値が判定された付与された細胞の画像を準備します。これらを学習させることで、細胞の画像と老化/非老化細胞の関係性を学習させて、画像から自動で細胞老化の判定解析が可能となることが期待されます。

課題

課題
細胞老化による培養中止の確定判断をするため、誰もが一定の判断を行うための標準化基準を確立することが難しい

細胞の老化に伴う変化は複雑な指標が関係しているため、細胞老化による培養中止の確定判断をするために、一定基準で誰もが簡単に判断できる老化の程度に関する差異を認識することは困難です。そのため、標準的な評価指標を設定することは難しいとされています。

課題
細胞の老化による増殖能の低下や細胞の形態の段階的変化を規定値として識別する目視判断の教育訓練は難しく、作業者により判断にバラつきが生じる

熟練者により細胞の老化状態の差異識別基準が設定されたとしても、その差異識別は複雑な指標で構成されているため、標準化や教育訓練が難しく、同一作業者であっても、判断にばらつきが生じてしまうことが問題です。

課題
マーカー染色による評価ではコストや時間がかかり、また侵襲的であるため、評価に用いた細胞を次の工程で使えない

マーカー染色による老化細胞の評価では、染色試薬や染色作業時間と観察時間が必要となり、コストがかかります。また、この方法では細胞を固定したり染色したりする作業を伴うため、細胞を生かした状態で評価に用いることが困難となります。そのため、評価で使用した細胞を次の工程で使用することは出来ません。

ソリューション

細胞の老化による生物学的特徴は、徐々に変化していくため、その明確な指標を見つけづらいものですが、機械学習により、継代毎の差異を学習させることにより、老化段階を識別できる可能性があります。
機械学習を用いて細胞の老化状態の差異識別判定を行うことで、従来指標を見つけることが難しかった、細胞老化の判定基準を設定することができるようになります。decision treeを利用した分類モデルを作成する機械学習では、判定基準設定に用いた説明変数を確認することができます。分類根拠の説明が難しいディープラーニング深層学習)と異なり、decision treeを使った機械学習により判定の根拠を説明可能とすることは、現状における細胞生物学の分野においては、判断根拠の情報を共有する上で重要です。
一度分類モデルを構築した後は、細胞画像を分類モデルに基づき判定することが可能となるため、作業者個人による判断にゆだねることなく、定量的な判定が可能となります。これにより、これまでは染色作業が必要だった判定が、染色不要で位相差画像のみで判定できる可能性があります。機械学習による分類モデルの作成は、老化による培養の中断判断や、hPSCヒト多能性幹細胞)からの分化誘導率予測、継代のタイミングの予測など、培養工程管理に活用が期待されます。画像解析ソフトウェア「CL-Quant アドオンモジュール」の製品情報はこちら

機械学習を用いて構築した学習モデルに基づき位相差画像を判定

通常、細胞の大きさ、培養容器への接着性の違いやマーカーなどから老化の有無を判断していたところを、細胞の形態を指標とした機械学習により老化判定可能となることが期待されます。

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