糸球体内皮細胞
しきゅうたいないひさいぼう
Glomerular endothelial cell (GEnC)

糸球体は、糸球体を覆うボーマン嚢側の上皮細胞(壁側上皮細胞)、糸球体内皮細胞(GEnC)、ポドサイト(内臓上皮細胞)、メサンギウム細胞という4種類の細胞によって構成されています。中でも、糸球体内皮細胞は血液中を循環する細胞や因子との最初の細胞バリアとなります1)
バリアとなる構造は糸球体係蹄壁と言われ、濾過障壁としての役割を担っています。濾過障壁は血管壁側から糸球体内皮細胞、糸球体基底膜(GBM)、ポドサイトの三層の構造となっていて分子の大きさと荷電によって透過させるものを選別しています。これら3層の濾過膜は大量の血液を速やかにろ過するために、サイズの異なる (血管側から大→小) 孔で構成されています (サイズバリア)。さらに、ろ過膜表面は陰性荷電を呈しており (チャージバリア)、分子量約7万のアルブミンや血球成分は実質的に濾過されない構造となっています2)。水や小分子量の物質は透過性が高いですが、正常状態では高分子量物質の透過性は低いため、血液中のタンパク質や赤血球などの高分子物質等の透過の度合いによってバリア構造の障害の指標となります。

参考文献

1) Sol M, Kamps JAAM, van den Born J, van den Heuvel MC, van der Vlag J, Krenning G, Hillebrands JL. Glomerular Endothelial Cells as Instigators of Glomerular Sclerotic Diseases. Front Pharmacol. 2020 Oct 6;11:573557. doi: 10.3389/fphar.2020.573557. PMID: 33123011; PMCID: PMC7573930.

2) 森岡哲夫、日腎会誌 2008;50(5):547-553.

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