ヒト腎臓近位尿細管上皮細胞
ひとじんぞうきんいにょうさいかんじょうひさいぼう(あーるぴーてっく)
Renal Proximal Tubule Epithelial Cells (RPTEC)

腎臓の近位尿細管は、種々の毒物による標的傷害部位となります。
腎臓による代謝あるいは排泄によって薬物がクリアランスされる腎クリアランスは、腎糸球体における濾過、尿細管における血管側から尿側への分泌、尿側から血液側への再吸収の総体として決定されます。尿細管における分泌又は再吸収には、トランスポーターを介した能動的な輸送が関与することが知られています。したがって、トランスポーターを介して尿細管中に能動的に分泌、また、尿細管で再吸収される薬物は、その過程で薬物相互作用が生じる可能性があります。
近位尿細管上皮細胞に発現するトランスポーターが阻害される場合、薬物の血中濃度が上昇する可能性があります。そのため、薬がトランスポーターの基質あるいは阻害薬となるかを検討し、臨床薬物相互作用試験を実施すべきか否かを判断されます。
HK-2細胞などの不死化ヒト近位尿細管細胞株は薬物の毒性評価のツールとして使用されていますが、健常者ドナー由来初代培養近位尿細管細胞も利用されています。

参考文献

薬生薬審発 0723 第4号 薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドラインhttps://www.pmda.go.jp/files/000225191.pdf

Mossoba ME, Sprando RL. In Vitro to In Vivo Concordance of Toxicity Using the Human Proximal Tubule Cell Line HK-2. Int J Toxicol. 2020 Sep/Oct;39(5):452-464. doi: 10.1177/1091581820942534. Epub 2020 Jul 29. PMID: 32723106.

ウェビナー情報ウェビナー情報