ライフサイエンスソリューション概要
生物顕微鏡の革新で、ライフサイエンスを支える。
ヘルスケア事業部の柱となっているのがライフサイエンスソリューションです。その原点は、ニコンが初めて設計し、1925年に発売された“JOICO(ジョイコ)顕微鏡”です。
その後、約100年におよぶ技術開発の歴史の中で、大学や民間の研究機関を始めとする多くの研究者の方々と築き上げてきた豊富な経験と知見が、私たちの礎となっています。用途によって最適化された各種の生物顕微鏡と高度な画像解析技術、そして細胞培養観察装置などによる細胞の分析・評価・選択の技術・サービスは、ライフサイエンスのさまざまな研究分野で活用され、ヘルスケア事業部の根幹を支えています。
ライフサイエンスソリューションを支える技術
ライフサイエンスソリューションの核となる顕微鏡はまさにニコンの得意とする光学技術の結晶と言えます。私たちはこれまでに顕微鏡の概念を変えるような数々のブレイクスルーを起してきました。たとえば約10年前に開発した、超解像顕微鏡は光学理論の解像度限界と言われていた、200ナノメートルを超える解像度での観察を可能にしました。また近年では、超短パルスレーザーを使用した、多光子励起顕微鏡を開発。これにより、組織や細胞を生きたまま、その深部まで観察できるようになりました。また、長年培ってきた「細胞を観察し、評価する」という画像処理技術やノウハウを通じて、課題の解決や、研究・製品開発をサポートしています。
私たちは「見えないものを見えるようにする」技術で、最先端の研究分野に新たな価値を提供し続けています。
今後の展望
顕微鏡は、これまでの人類の歴史の中で成し遂げられてきた、数々の生命メカニズム解明に大きく寄与してきました。そしていま、再生医療、創薬、予防医療といった最先端の分野に優れた顕微鏡と顕微鏡画像の解析技術が求められています。
また細胞分野においては、安定した高品質な細胞生産のための「細胞品質評価」、細胞を使った創薬を支援する「創薬アッセイ」。これらは、互いが密接に関係し大きなシナジーを生み出します。
私たちは今後もこれらの分野に関わる研究者の方々とのコミュニケーションを深め、最先端の技術で、ライフサイエンス研究のさらなる進化をサポートし、より多くの人々の健康に貢献するための、新たな可能性を創造していきます。
アイケアソリューション概要
クオリティ・オブ・ビジョンを見つめる。
アイケアソリューションが目指す、クオリティ・オブ・ビジョン(QOV)の向上とは、一人ひとりの人生における“目の見え方の質”を向上させることです。特に高齢化が進む先進国において注目されている新しい概念で、糖尿病網膜症、白内障、緑内障などを早期発見しその進行を抑えることもテーマとなっています。私たちは、人々のQOVに貢献することを目的として、2015年、眼底カメラで世界首位のシェアを持つ英国Optos(オプトス)社を子会社としました。現在、主力製品となる超広角走査型レーザー検眼鏡の普及に取り組み、さらに、最先端の検眼技術と画像解析技術などをマッチングさせた新たなソリューションを提供していきたいと考えています。
アイケアソリューションを支える技術
Optosの超広角走査型レーザー検眼鏡は、従来の検眼鏡の画角45度に対して、200度という超広角(UWF™:ultra-widefield)で網膜の高解像度画像を取得できます。これによって眼底の80%の領域をカバーし、医師のより的確な診断をサポートします。瞳孔径が2mm以上あれば散瞳剤を使用する必要がなく、これによって、検眼後すぐに車を運転できるなど、患者さんのベネフィットにもつながります。Optosの最新鋭機器は、長波長レーザーにより、眼球の断面画像を取得することができ、これまで難しかった、加齢黄斑変性などの正確な診断も可能にしています。
今後の展望
今後はOptosの持つ独自技術に、ニコンの光学技術、画像解析技術などを導入することによるシナジーも視野に入れています。また、網膜の画像を人工知能(AI)によって診断する新たなソリューションにも取り組んでいます。それらによって、糖尿病網膜症などによる失明を少しでも減らすことに貢献したいと考えています。
将来は、網膜画像から得られる情報によって、心疾患などの兆候を早期に発見したりすることが可能になるかもしれません。QOVを見つめることから、人々のヘルスケアに貢献していきます。
人工知能(AI)を活用した網膜画像のスクリーニング検査で、糖尿病眼疾患による失明リスクを低減。
ニコンと米国Verily社※(Verily Life Sciences LLC、旧Google Life Sciences)との協業で、Machine Learning(機械学習)を活用したスクリーニング検査の開発をしています。糖尿病網膜症・糖尿病黄斑浮腫による患者さんの失明リスク低減に貢献することを目指しています。Machine LearningはAIのひとつで、画像認識などの領域で高いパフォーマンスを発揮します。現在、Optosの超広角走査型レーザー検眼鏡で取得した、数万枚に及ぶ眼底の高解像度画像を元に、高く信頼された読影センターから送られてくる画像判定を使用して、アルゴリズムをトレーンングしています。我々が開発しているAIは医療現場のシステムに組み込まれ、検眼後、速やかにスクリーニング結果を提供します。
今後の展望
現在は、糖尿病網膜症・糖尿病黄斑浮腫による失明リスクの低減を目的としたAIスクリーニングの開発に集中しています。将来的にはその他の疾患のスクリーニングにも展開できる可能性があります。目は人体の内部を直接見ることのできる唯一の器官と言えます。高精細な網膜にある細かな血管の画像を判定することで、さまざまな病気を早期発見することが期待できます。今後対象疾患の範囲を広げたソリューションを構築することができれば、医療の未来を変えることができるかもしれません。
- ※Verily社:最新の科学技術を活用しながら、健康と生命科学に関する重要課題に取り組む、ライフサイエンス研究と技術開発を行う組織。
細胞受託生産ソリューション概要
世界最高レベルの細胞受託生産サービスを日本の再生医療に。
細胞受託生産ソリューションは、製薬会社およびバイオベンチャーをはじめとするお客様に、再生医療用細胞、遺伝子治療用細胞の受託開発・受託生産に関する世界最高レベルのサービスを提供し、日本の再生医療の実用化・発展に貢献しています。