医療用のデジタルイメージングマイクロスコープ「ECLIPSE Ui」※1独自のデジタル技術の新実装により、病理診断の精度と効率化を支援

2024年3月28日|PRESS RELEASE/報道資料

株式会社ニコン(社長:馬立 稔和、東京都港区)は、デジタルイメージングマイクロスコープ「ECLIPSE Ui(エクリプス ユーアイ)」※1 について、ソフトウェアのアップデートとなるバージョン1.2の提供を2024年3月28日より順次開始いたします。
「ECLIPSE Ui」は顕微鏡でありながら接眼レンズをなくしたユニークなデザイン、ネットワーク経由で遠隔地からの操作・閲覧できることが特長で、病理診断のワークフロー改善に貢献してまいりました。特に、病理診断に使用できる医療機器としてデジタル技術を活用した独自の新機能「アライメントモード」および「軌跡表示機能」により、医療DX化をサポートし、病理診断におけるよりいっそうのワークフロー改善を通じて、病理医を支援していきます。

デジタルイメージングマイクロスコープ「ECLIPSE Ui」
  1. ※1医療機器届出番号:14B2X10066000001(販売名:「デジタルイメージングマイクロスコープ Ui」)

発売概要

商品名 デジタルイメージングマイクロスコープ「ECLIPSE Ui」
バージョン 1.2
提供開始時期 2024年3月28日より順次

開発の背景

日本において医師不足が懸念される昨今、日本病理学会の情報によると病理専門医の数は、2023年10月時点で2,787名となっております※2 。病理検査を行う臨床現場においては、こうした病理医不足に加え、長時間の観察による機器使用者の疲労蓄積など、様々な課題があります。さらに、病理診断は判断が難しいケースも多く、少ない体制でいかに効率的に検査の精度を保つかが医療現場での課題となっております。その一つに医療現場での効率的な複数人でのダブルチェックなど客観的な観察環境の構築が求められる状況にあります。

  1. ※2一般社団法人日本病理学会 病理専門医一覧 https://pathology.or.jp/senmoni/board-certified.html[別窓で遷移します]

こうした課題に対し、ニコンは、接眼レンズをなくして、ディスプレイで観察画面を共有すること、および遠隔地からの操作・観察を可能にすることにより、病理医の身体的負担を軽減し、病理診断のワークフロー改善に貢献する「ECLIPSE Ui」を開発し、2023年5月より提供してまいりました。

この度のソフトウェアアップデートでは、二種類の標本を同時に比較観察することを実現する「アライメントモード」、またデジタル画面上で、既に顕微鏡で観察した個所の履歴を残すことができる「軌跡表示機能」の二つの新機能が搭載されます。これらの機能は従来の肉眼で観察する顕微鏡では実現不可能な効率的なダブルチェックと客観的な顕微鏡観察を実現します。デジタル機能ならではの独自技術を採用し、医療業界内で急速に進む医療DX化に貢献します。

主な特長

1. 二つの標本の観察点を一つの画面で同時比較できる「アライメントモード」により、診断の効率化をサポート

病理診断においては、標本(患者さんの身体から手術や検査などで採取された組織や細胞)を観察することで診断を行いますが、がんなどの諸疾患においては複数の染色法を用いた標本を比較観察することがあります。
その際、医師による比較観察のやり方は様々ですが、新機能の一つである「アライメントモード」は病理診断の効率化サポートを目的としており、保存した染色標本画像を画面上に表示することができ、実際に標本観察を行うLive画像と同時に比較しながら病理医の方が診断することが可能となりました。これにより、より客観的な観察環境の構築に貢献することが期待されます。

2. 観察した個所の履歴を残すことができる「軌跡表示機能」により、効率的なダブルチェック※3 を実現

観察個所をナビゲートするマクロ画像上で観察した個所が暗転し、確認済みの視野がわかりやすく表示されます。これにより、網羅的な観察を実現し、観察視野の見逃し防止に寄与します。

  1. ※3ここでは一人で時間をおいて、画像や物事を再照合することを指します。

【山口 達也 執行役員 ヘルスケア事業部長のコメント】

2024年4月より「医師の働き方改革」の新制度が施行されることになりますが、中でも医療DXの推進は喫緊の課題で、病理医においても、デジタル技術活用によって業務の効率化に貢献できると考えています。今回のソフトウェアアップデートは、病理診断時の負担を軽減、診断の補助を通してプロセスの効率化につながるものです。デジタル製品ならではの技術を提供することで、病理医をはじめとする医療従事者の業務の効率化が進めば、医師不足解消の一歩になると考えており、その先には患者さんやそのご家族のQOL(Quality of Life)の向上につながるとの想いで、日々研究を進めています。
また、デジタル病理の分野は中長期的に拡大する有望市場だと見込んでいます。ニコンヘルスケア事業部は画像診断や遺伝子特性に基づく複合診断が個別化医療の進化に貢献すると考えており、今後もAIやソフトウェアを活用した診断支援ツールの開発にも積極的に取り組んでいきます。

主な仕様

観察法 明視野透過観察
観察可能な標本
    プレパラート1枚
    厚さ0.9~1.7mm

    ・スライドガラス(ISO8037準拠)
    厚さ:0.9~1.2mm
    寸法:76mm×26mm

    ・カバーガラス(ISO8255準拠)
    厚さ:0.17mm
    寸法:18~60mm×18~25mm
対物レンズ CFI Plan Fluor 4X、CFI Plan Fluor 10X、CFI Plan Fluor 20X、CFI Plan Fluor 40X
マーキングモード 点の描画最大個数:499個
点描画のサイズ:8px、16px、32pxから選択可能
計測モード 2地点間を線分と長さのスケール表示
電動駆動部 対物倍率切替え、ステージ移動(標本ローディング含む)、対物上下動、開口絞り、標本ホルダーツメ開閉、マクロ・ミクロ観察系切替え
本体定格 入力定格:AC100-240V±10%、50/60Hz
最大消費電力:170W

ニコン ヘルスケア事業について

ヘルスケア事業部は2017年、医療機器を扱う「メディカル事業推進本部」と生物顕微鏡などを扱う「マイクロスコープ・ソリューション事業部」を統合することで誕生しました。現在、「ライフサイエンスソリューション」、「アイケアソリューション」、「細胞受託生産ソリューション」の3つのソリューションを展開しています。

ライフサイエンスソリューション」は、バイオサイエンスや医学の分野において、生細胞の構造や動きをナノスケールで観察する超解像顕微鏡その他で新たな知見の獲得などをサポート。また再生医療・創薬の分野では、細胞の品質を評価する細胞培養観察装置や細胞関連のサービスを通じて治療や新薬開発に貢献しています。

アイケアソリューション」は、超広角走査型レーザー検眼鏡による高精細な網膜画像の取得を支援し、眼科領域における疾病の早期発見と治療に貢献します。さらに糖尿病などの内科領域の全身疾患の早期発見と治療にも寄与しています。

細胞受託生産ソリューション」は、細胞生産プロセスをサポート。世界最高レベルの製造設備・オペレーション・品質管理システムで、製薬会社、バイオベンチャー分野に再生医療用細胞、遺伝子治療用細胞の受託開発・受託生産を提供し、再生医療の発展に貢献しています。

ニコンのヘルスケア事業は、イノベーションを通じて、人々のクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献しています。

この件に関する問い合わせ先

報道関係の問い合わせ先

株式会社ニコン ヘルスケア事業部 菅原・松本
108-6290 東京都港区港南2-15-3 品川インターシティC 棟 03-6433-3708

ニコンヘルスケア事業部PR事務局
株式会社オズマピーアール 担当:西山・藤原
TEL:03-4531-0212

関連リンク

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ニコン ヘルスケア事業ホームページ

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