ワンクリックでAIが蛍光画像を鮮明でクリアに変換
~ノイズが多い画像も簡単処理で作業フローを大きく改善~
顕微鏡用AIモジュール「NIS-A Clarify.ai」を発売

2020年7月14日

株式会社ニコン(社長:馬立 稔和、東京都港区)の子会社、株式会社ニコンインステック(社長:園田 晴久、東京都港区)は、AI(人工知能)を用いてデフォーカス面(合焦面の上下に存在する、ピントの合っていない面)からの蛍光シグナルを画像中より取り除く、顕微鏡用AIモジュール「NIS-A Clarify.ai」を発売します。

顕微鏡画像統合ソフトウェアNIS-Elementsのモジュールである「NIS-A Clarify.ai」は、AIの一種であるディープラーニングを用いています。デフォーカス面から発せられる蛍光シグナルを認識するよう学習済みであるため、画像中からその成分を除去し、S/N比を劇的に改善することが可能です。
蛍光顕微鏡は共焦点顕微鏡よりも、“高速画像取得”、“低光毒性”、“簡単操作”、“導入の容易さ”などの多くの長所がある一方、デフォーカス面からの光の影響により画像のS/N比が低下するという短所があります。「NIS-A Clarify.ai」により、高コントラストでS/N比の高い画像を、蛍光顕微鏡を使用して簡単に取得することが可能になります。また、NIS-Elementsの多様な画像解析機能との組み合わせにより、画像の定量解析をおこなうことができます。
生物標本の深部に至る現象を、鮮明でクリアに可視化することで、形態学的研究を始めとした様々な研究に幅広く貢献するとともに、簡単処理で研究の作業フロー改善にも寄与します

発売概要

商品名 顕微鏡用AIモジュール「NIS-A Clarify.ai」
価格(税別) 240,000円

主な特長

1. ワンクリックで蛍光画像を鮮明に

蛍光顕微鏡を用いて観察対象にピントを合わせて画像取得する際、デフォーカス面(合焦面の上下に存在する、ピントの合っていない面)から発せられる蛍光シグナルにより、画像が不鮮明になるという現象が生じます。
従来、デフォーカス面からの光を蛍光画像より除去するには、デコンボリューションが用いられてきました。「NIS-A Clarify.ai」は、デフォーカス面からのシグナルを学習済みAIによって蛍光画像から取り除き、しかもデコンボリューションよりも高速で画像処理することが可能です。
NIS-A Clarify.ai」は学習済みモジュールのため、ワンクリックでデフォーカス面からの蛍光シグナルを取り除きます。画像のコントラスト向上を高速で実現し、研究時間や作業負担の削減に貢献します。

従来の蛍光画像 →「NIS-A Clarify.ai」による蛍光画像|透明化処理を施したマウスの脳スライス

2. ワイドフィールド画像から、高精細3D画像を生成

また、画像処理した複数枚の2D蛍光画像を積み重ねて表示することにより、高精細な3D蛍光画像を生成可能です。
AIを利用したこの新モジュールは、厚みのある生物標本の深部までも、高コントラストな画像が取得できるため、形態学的研究への応用が期待できます。下記画像をクリックすると、動画をご覧いただけます。

従来の蛍光画像|「NIS-A Clarify.ai」による蛍光画像|厚さ250umのオルガノイドをスタック撮影したもの(3D蛍光画像)

3. 画像解析機能とのシームレスな連携で定量解析が可能に

「NIS-A Clarify.ai」で処理した画像は、NIS-Elementsの多様な画像解析機能を使用し定量解析を行うことで、研究結果の分析を容易にします。

(a)従来の蛍光画像|(b)「NIS-A Clarify.ai」による蛍光画像|(c)bを二値化処理したもの|厚さ250umのオルガノイド → 処理後の画像を利用して定量解析が可能

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