ニコンが生物顕微鏡ECLIPSE Siで新たなラインナップを拡充医療・研究・教育現場での効率的な観察ワークフローを実現

2024年5月28日|PRESS RELEASE/報道資料

ECLIPSE Siと位相差コンデンサー「SI-PH」の組み合わせ例

株式会社ニコン(以下、ニコン)は、生物顕微鏡ECLIPSE Si専用の位相差コンデンサー「SI-PH」を新たに開発し、ECLIPSE Siのラインナップを拡充します。本製品は、株式会社ニコンソリューションズが5月28日より発売します。
ECLIPSE Siは長時間の使用にも快適にお使いいただける様々な機能を搭載し、教育から臨床現場まで幅広くご使用いただける製品です。

これまで、ECLIPSE Siでは、明視野観察※1 から位相差観察※2 への移行や、倍率の切り替えに複数のスライダー※3 を使用する必要がありました。今回登場した新しい位相差コンデンサー「SI-PH」は、2つのスライダーをひとつのターレット※4 に集約したことで、スライダーの交換や取り外しをすることなく、明視野観察から位相差観察への移行や、低倍率から高倍率へのスムーズな観察を実現します。

ニコンでは、研究者や医療従事者からの現場の声に基づき、高い光学技術を生かした製品開発を進めています。今後も現場の作業負担を軽減し、精度の高い検査の実現に貢献していきます。

発売概要

商品名 位相差コンデンサー 「SI-PH」
発売日 2024年5月28日

主な特長

1. スムーズな倍率切替と直感的な操作性で、医療や研究・教育現場の効率的な観察プロセスを提案

位相差コンデンサー「SI-PH」は、低倍率から高倍率に至るまでの観察の移行をひとつのターレット内で完結できるため、異なる倍率設定の切り替えがスムーズに実行できる点が特長です。また、スライダーの交換や取り外しなしに、明視野観察から位相差観察への移行ができるため、ユーザーは研究や検査の業務効率を向上させることが可能です。医療現場での検査や研究・教育現場での観察など、特に多くのサンプルを観察する必要がある現場においては、大きな業務改善へとつながることが期待されます。

ターレットを回して、低倍率から高倍率に至るまでの観察を簡単に移行

2. 工具不要で観察方法の切り替えを可能にし、検査や研究の効率化を実現

従来の生物顕微鏡では、位相差観察に必要なスライダーを取り扱う際には、専用の工具が不可欠でした。位相差コンデンサー「SI-PH」では、位相差観察に特有のリング絞りのセンター調整が、内蔵された機構により簡単に操作可能になります。

本製品では、特長的な機能である倍率のスムーズな切り替えとリング絞りの容易な調整を実現したことで観察作業の迅速化が実現し、操作手順の簡素化と観察精度の向上に貢献していきます。その結果、検査の質の向上に寄与し、病理医や臨床検査技師の皆様だけでなく、その先にいる患者さんにも貢献していきたいと考えています。
また、操作方法をまとめたウェブサイト「オンラインガイド」により、多様な顕微鏡操作や注意点などを動画と静止画で手軽に確認することができます。

URL:https://www.microscope.healthcare.nikon.com/guides/si/ja/[別窓で遷移します]

【ニコン 常務執行役員 ヘルスケア事業部長 山口達也のコメント】

今回発売する位相差コンデンサー「SI-PH」は、主に病理医や臨床検査技師、研究・教育現場の皆様の顕微鏡観察における業務負担の軽減に寄与し、迅速にサンプルを観察できるよう開発・設計されているため、本製品をご活用いただくことで、生物細胞の観察や臨床検査における顕微鏡観察の精度や速度の向上につながると期待しています。また、歯科のプラーク検査や皮膚科の真菌検査、血液検査、染色体検査など、幅広い臨床検査にも適用可能で、クリニックをはじめその他医療機関や検査センターにとどまらず、大学などの教育機関においても本製品をご活用いただくことで、実際の臨床現場で求められる技術の習得を支援し、次世代の医療専門家の育成にも貢献できると考えています。

私たちは、今後もユーザーの皆様の声に耳を傾け、それを製品開発に反映させながら、医療や研究・教育の現場で役立つソリューションを提供し続けていきたいと思います。細やかな配慮と、常にユーザーが満足する形を追求する姿勢をもち続けながら、イノベーションを通じて、人々のクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献していきます。

ニコン ヘルスケア事業について

ヘルスケア事業部は2017年、医療機器を扱う「メディカル事業推進本部」と生物顕微鏡などを扱う「マイクロスコープ・ソリューション事業部」を統合することで誕生しました。現在、「ライフサイエンスソリューション」、「アイケアソリューション」、「細胞受託生産ソリューション」の3つのソリューションを展開しています。

ライフサイエンスソリューション」は、バイオサイエンスや医学の分野において、生細胞の構造や動きをナノスケールで観察する超解像顕微鏡その他で新たな知見の獲得などをサポート。また、再生医療・創薬の分野では、細胞の品質を評価する細胞培養観察装置や細胞関連のサービスを通じて治療や新薬開発に貢献しています。

アイケアソリューション」は、超広角走査型レーザー検眼鏡による高精細な網膜画像の取得を支援し、眼科領域における疾病の早期発見と治療に貢献します。さらに糖尿病などの内科領域の全身疾患の早期発見と治療にも寄与しています。

細胞受託生産ソリューション」は、細胞生産プロセスをサポート。世界最高レベルの製造設備・オペレーション・品質管理システムで、製薬会社、バイオベンチャー分野に再生医療用細胞、遺伝子治療用細胞の受託開発・受託生産を提供し、再生医療の発展に貢献しています。

ニコンのヘルスケア事業は、イノベーションを通じて、人々のクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献しています。

  1. ※1「明視野観察」 標本を透過または反射した光を観察する一般的な観察法です。主な用途として、目的に応じて染色を施された標本の観察、病理検査、血液検査などがあります。
  2. ※2「位相差観察」 光の回折と干渉という現象を利用して、透明な標本に明暗のコントラストを付けて観察します。明視野観察のように標本を染色する必要がないので、生きたままの標本を観察できます。
  3. ※3「スライダー」 顕微鏡の光路に挿入される小さな装置やプレートのことで、位相差観察などの特殊な光学技術を利用する際に使用されます。
  4. ※4「ターレット」 顕微鏡の構成要素のひとつで、位相差観察用のリング絞りを切り替えるために使用されます。

関連リンク

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