ニコン、超解像共焦点レーザー顕微鏡システム「AX R with NSPARC 2K」を発売細胞治療や遺伝子治療などの創薬研究に貢献する、高解像度・高速イメージング技術を新開発

2024年6月27日

超解像共焦点レーザー顕微鏡システム AX / AX R with NSPARC

株式会社ニコン(以下、ニコン)は、疾患解明と新薬開発を推進する超解像共焦点レーザー顕微鏡システム「AX R with NSPARC」で2K撮影を可能にするソフトウェア「AX R with NSPARC 2K」を開発し、AXシリーズのラインナップを強化します。本製品は、株式会社ニコンソリューションズより6月28日より販売開始します。
「AX R with NSPARC」に搭載されたNSPARC(Nikon Spatial Array Confocal)ディテクターは極めて低ノイズかつシャープな画像取得により精密な観察が可能です。今般アップデートしたソフトウェアでは、従来製品に比べ、同じ倍率で観察範囲を約4倍※1に拡大。さらに、同倍率での画像取得速度も約6倍※2に向上しました。

この製品の導入により、がんやアルツハイマー型認知症など、まだ十分に解明されていない疾患の解明や創薬の研究・開発に貢献できると期待しています。
特に、遺伝子治療や細胞治療などの多様化する創薬モダリティにおいて、治療法の有効性や安全性に関わる重要な細胞の活動をこれまで以上に詳細に観察できるようになることで、病気の治療に使用される細胞や組織の成長過程を追跡し、その働きを解明することも可能となります。
ニコンでは、これらのニーズに応えるために高い光学技術を生かした製品開発を進め、疾患の解明や新薬開発の加速に貢献していきます。

発売概要

商品名 超解像共焦点レーザー顕微鏡システム「AX R with NSPARC 2K」
バージョン NIS-Elements C/ C-ER Ver6.02.03 Patch C2以降
発売日 2024年6月28日

主な特長

1. 同倍率で観察範囲は約4倍※1に拡大、より大きな視野で細胞や組織の詳細を捉え、包括的な分析を可能に

「AX R with NSPARC 2K」は、超解像イメージングに必要な画素ピッチを保ちながら観察視野を従来製品の約4倍に広げることが可能となりました。これにより、研究者は同じピクセルサイズでより広い範囲をカバーしながら、神経細胞の微細な構造を高解像度で観察することが可能になります。遺伝子変異を原因とした神経細胞構造の異常を網羅的かつ詳細に観察するなど、一度に多くのデータを収集が可能となります。結果として、広範な生物学的プロセスを理解することに繋がります。

2. 従来比で6倍※2速い「超高速イメージング」で、がん、脳・神経、感染症研究を革新

今回のアップデートにより、レゾナントスキャナ使用時には同じ拡大倍率でガルバノスキャナと比べて、約6倍の速度で画像を取得することが可能となります。このような超高速なイメージング能力は、これまで捉えることのできなかったCAR-T細胞のがん細胞への浸潤における詳細な経過など、動的な生命現象をリアルタイムで捉えることができます。
これにより、がん、脳・神経、感染症などの研究のタイムラインを大幅に短縮し、効率を飛躍的に向上させることが可能になります。

AX Rにて撮影した画像(当社アプリケーションノートより)

高性能なNSPARCディテクターの使用で、疾患の原因究明や新薬開発に貢献

高速かつ広範囲にわたり、高い解像度を実現するイメージング技術を提供するNSPARCディテクターの搭載で、研究者は細胞や組織の微細な部分まで鮮明に観察することができます。結果として、正確なデータ解析や科学的な理解を深めることが可能となり、疾患の根本原因を解明するための貴重な洞察が得られます。

【ニコン 常務執行役員 ヘルスケア事業部長 山口達也のコメント】

ニコンでは科学研究と医療分野における重要な課題解決に寄与するため、超解像共焦点レーザー顕微鏡システム「AX R with NSPARC 2K」を開発しました。この製品は特にがんや神経変性疾患など、疾患の研究に焦点を当て、その原因究明と新薬開発に必要な精密かつ高速なデータ収集を可能にします。
「AX R with NSPARC 2K」では、従来製品に比べ、広範囲で高解像度の観察や、約6倍速の超高速イメージング、そして高性能ディテクターによる精密な観察環境を実現することで、研究者がより効率的、かつ詳細に生命現象を理解することを手助けするツールとなります。これにより、遺伝子治療や細胞治療など、今後期待される創薬モダリティの創薬開発の加速化に貢献できると考えています。
ニコンでは、日々進化する医療ニーズに応える製品開発を進めていくことで、研究者や医療従事者のみならず、すべての人々の健康と福祉の向上に貢献することを目指しています。

ニコン ヘルスケア事業について

ヘルスケア事業部は2017年、医療機器を扱う「メディカル事業推進本部」と生物顕微鏡などを扱う「マイクロスコープ・ソリューション事業部」を統合することで誕生しました。現在、「ライフサイエンスソリューション」、「アイケアソリューション」、「細胞受託生産ソリューション」の3つのソリューションを展開しています。

ライフサイエンスソリューション」は、バイオサイエンスや医学の分野において、生細胞の構造や動きをナノスケールで観察する超解像顕微鏡その他で新たな知見の獲得などをサポート。また再生医療・創薬の分野では、細胞の品質を評価する細胞培養観察装置や細胞関連のサービスを通じて治療や新薬開発に貢献しています。

アイケアソリューション」は、超広角走査型レーザー検眼鏡による高精細な網膜画像の取得を支援し、眼科領域における疾病の早期発見と治療に貢献します。さらに糖尿病などの内科領域の全身疾患の早期発見と治療にも寄与しています。

細胞受託生産ソリューション」は、細胞生産プロセスをサポート。世界最高レベルの製造設備・オペレーション・品質管理システムで、製薬会社、バイオベンチャー分野に再生医療用細胞、遺伝子治療用細胞の受託開発・受託生産を提供し、再生医療の発展に貢献しています。

ニコンのヘルスケア事業は、イノベーションを通じて、人々のクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献しています。

  1. ※1従来製品のレゾナント撮影と比較した場合の数値
  2. ※2当社のガルバノスキャナと比較した場合の数値

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