ニコン、医療用デジタルイメージングマイクロスコープ「ECLIPSE Ui Ver 1.3」をリリース医師の病理診断業務の効率化と病変部位の見逃し防止に貢献する新機能を搭載

2024年10月1日

株式会社ニコン(以下、ニコン)は、デジタルイメージングマイクロスコープ「ECLIPSE Ui(エクリプス ユーアイ)」※1のソフトウェアアップデートとなるバージョン1.3を2024年10月1日より順次提供開始いたします。今後販売されるECLIPSE Uiには、すべてこの最新バージョンのソフトウェアが搭載されます。

医療機器であるECLIPSE Uiは、接眼レンズを排除したユニークなデザインと、ネットワーク経由での遠隔地からの操作・閲覧が可能な機能により、病理診断のワークフロー改善に貢献してきました。今回のアップデートでは、「全体像表示と表示画像のズーム機能」や「自動巡回撮影機能」といったデジタル技術を活用した機能が新たに追加され、医師による病理診断のさらなる効率化に寄与します。病理医の業務改善をサポートし、医療現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に貢献します。

開発の背景

日本国内では、病理専門医の不足が懸念されており、2023年10月時点での専門医数は2,787名※2と報告されています。臨床現場では、病理医の不足に加え、地域格差や高齢化も課題になっています。また、長時間の観察による疲労の蓄積、判断が難しいケースに対する効率的かつ精度の高い診断が求められているため、ダブルチェックや遠隔診療などの観察環境の構築が重要な課題となっています。

こうした課題に応えるため、ECLIPSE Ui Ver 1.3は、ニコンの顕微鏡技術を最大限に活用し、病理診断をデジタルの力で支援するツールとして開発されました病理の限られたリソースの中で、医師による迅速かつ正確な診断を可能にすることで、医療現場の課題解決に貢献してまいります。

  1. ※1医療機器届出番号:13B2X10606000001 (販売名:「デジタルイメージングマイクロスコープ Ui」)
  2. ※2一般社団法人日本病理学会 病理専門医一覧 https://pathology.or.jp/senmoni/board-certified.html[別窓で遷移します], (参照 2024-09-26)

発売概要

商品名 デジタルイメージングマイクロスコープ「ECLIPSE Ui」
バージョン 1.3
提供開始時期 2024年10月1日より順次
主なアップデート事項
  • 高画質な全体像表示とズーム機能
  • 自動巡回撮影機能
  • オートフォーカス(AF)高速化
  • ミクロ画像のモニター表示角度調整

主なアップデートの特長

今回のアップデートは、ユーザーからのフィードバックを迅速に反映し、医療現場での具体的なニーズに応えるために行われたものです。ニコンでは、常にユーザーの声に耳を傾けながら製品の改良を重ねることで、医療従事者の皆様が抱える課題を解決しております。

ECLIPSE Ui Ver 1.3では、従来の光学顕微鏡による観察方法をさらに進化させ、デジタル技術を活用することで、画像の拡大表示や観察ワークフローの自動化を実現します。本製品は、病理医や検査技師の診断業務の負荷を軽減し、より効率的かつ精度の高い診断をサポートするツールとなっています。

1. 高画質な全体像表示とデジタルズーム機能により、病変部位に素早くアクセス

新たに搭載されたズーム機能により、これまでと比較して3倍以上の高画質で標本の全体像を表示し、気になるポイントをマウス操作で迅速にズームして表示することが可能です。スムーズな操作性と高精細な画像表示を両立させることで、観察者は標本の位置や細胞分布などを素早く確認でき、細部観察までの時間短縮にも貢献します。

2. 自動位置合わせと巡回撮影で染色標本の比較観察をサポートし、診断の効率化に貢献

複数の染色法を用いた標本の比較観察を効率化するために、アライメントモード※3に自動巡回撮影機能を追加しました。アライメントモードでは、表示する二つの標本は自動で位置合わせされ、ワンクリックで目的の観察点へ移動させることができます。さらに、観察条件(レンズ倍率、フォーカスなど)が登録・保存できるため、新たに追加された本機能を用いることで、二つの標本の同一観察点を自動で巡回撮影します。これにより、標本間の見え方の差異を最小限に抑えることができるため、比較観察の準備作業が簡略化され、診断の効率化をサポートします。

  1. ※3保存した染色標本画像と、実際に標本観察を行うLive画像を一つの画面で同時比較できる機能

3. オートフォーカスの高速化と標本画像の角度調整により、業務効率化を支援

AFの速度が従来と比較して1.5倍以上※4速くなり、AFボタンをクリックしてから高速でピントが合わせられるため作業時間短縮に貢献します。
また、ミクロ撮像した画像を90度単位で回転表示できる機能を搭載しました。これにより、従来の顕微鏡と同様に観察中の標本の向きを変えられるため、標本の見やすさが向上し、病理診断時の注目箇所の見逃し防止に寄与します。

  1. ※4平均値。当社調べ

【ニコン 常務執行役員 ヘルスケア事業部長 山口達也のコメント】

この度、さらに医療現場のDXを推進するため、ニコンの最新のデジタルイメージング技術を駆使したECLIPSE UiのVer 1.3をリリースいたしました。今回のアップデートは、2024年3月にリリースしたVer 1.2から半年で実現しましたが、これは医療現場での日々の診断業務における課題を迅速に解決するために、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れた結果です。

特に、病理診断のワークフローを大幅に効率化する新機能を多数搭載しており、高精細な画像表示や自動巡回撮影機能を通じて、病理医や検査技師が直面する負荷を軽減し、診断の精度とスピードを向上させることを目指しています。また、ミクロ画像の回転表示機能により、標本の見やすさを一層向上させることで、重要な注目箇所を見逃すことなく観察できる環境を提供いたします。

ニコンは、今後も医療分野において進化するニーズに対応し、最先端のデジタル技術を活用して、より効率的で精度の高い診断業務を行う環境づくりに貢献していきます。そして、医療従事者の皆様が抱える課題を解決し、最終的には患者様の健康と福祉の向上に貢献してまいります。

ニコン ヘルスケア事業について

ヘルスケア事業部は2017年、医療機器を扱う「メディカル事業推進本部」と生物顕微鏡などを扱う「マイクロスコープ・ソリューション事業部」を統合することで誕生しました。現在、「ライフサイエンスソリューション」、「アイケアソリューション」、「細胞受託生産ソリューション」の3つのソリューションを展開しています。

ライフサイエンスソリューション」は、バイオサイエンスや医学の分野において、生細胞の構造や動きをナノスケールで観察する超解像顕微鏡その他で新たな知見の獲得などをサポート。また再生医療・創薬の分野では、細胞の品質を評価する細胞培養観察装置や細胞関連のサービスを通じて治療や新薬開発に貢献しています。

アイケアソリューション」は、超広角走査型レーザー検眼鏡による高精細な網膜画像の取得を支援し、眼科領域における疾病の早期発見と治療に貢献します。さらに糖尿病などの内科領域の全身疾患の早期発見と治療にも寄与しています。

細胞受託生産ソリューション」は、細胞生産プロセスをサポート。世界最高レベルの製造設備・オペレーション・品質管理システムで、製薬会社、バイオベンチャー分野に再生医療用細胞、遺伝子治療用細胞の受託開発・受託生産を提供し、再生医療の発展に貢献しています。

ニコンのヘルスケア事業は、イノベーションを通じて、人々のクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献しています。

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