2026年6月25日
株式会社ニコン(以下、ニコン)の「JOICO顕微鏡」と「CF(Chromatic Aberration Free)システム」の2点が、公益社団法人日本顕微鏡学会(以下、JSM)の第3回「顕微鏡遺産」に認定されたことをお知らせいたします。
「顕微鏡遺産」は、JSMが2024年に創立75周年を迎えたことを記念し、顕微鏡学の発展に大きく貢献したエポックメーキングな技術や製品を文化遺産として後世に伝えることを目的に創設された認定制度です。
今回認定された「JOICO顕微鏡」は、ニコンが1925年に発売し、当時としては革新的な高倍率の観察性能を実現するとともに、日本の顕微鏡技術に発展をもたらした歴史的な製品の一つです。「CFシステム」は、ニコンが1976年に顕微鏡に採用し、対物レンズと接眼レンズの収差を個別に補正することで従来の補正方式を根本から覆した革新的な光学設計思想です。この革新は、業界で「100年ぶりの技術革新」と称されました。
「JOICO顕微鏡」の開発において培われた設計思想や製造ノウハウが「CFシステム」を開発する上での基盤となり、画像の分解能に加え顕微鏡の拡張性も飛躍的に引き上げました。そして、「JOICO顕微鏡」の発売から100周年を迎えた2025年、ニコンは光学機器の国産化の礎とその後の技術革新を後世に伝えるべく顕微鏡遺産に申請し、認定を受けるに至りました。
ニコンは、1917年の設立以来、光の可能性を追い求め、新たな価値を創造してまいりました。その企業活動の中核の一つが、顕微鏡事業です。今回認定を受けた「JOICO顕微鏡」は、この事業の基点であり、その開発で培われた設計思想と熟練技術は、「CFシステム」の開発にとどまらず、現在の製品設計および生産にも活かされています。JOICO顕微鏡の発売から約100年、そしてCFシステムを採用した顕微鏡の発売から約50年を迎えた現在、ニコンの顕微鏡は、世界中のさまざまな分野で広く活用されています。企業や教育機関の研究現場では新たな発見を後押しし、医療や環境調査などの現場ではより正確な検査や分析を可能にすることで、人々の健康で豊かな生活を支えています。
私たちは、光の技術を通じて未知の世界へ挑み続けています。この挑戦が世界中の人々の健康と明るい未来につながると信じ、これからも未知の領域への挑戦を続けてまいります。
顕微鏡遺産に認定された機器・技術について
JOICO顕微鏡
JOICO顕微鏡は、ニコン(当時:日本光学工業株式会社)が1925年に発売した顕微鏡です。
当時としては革新的な最大765倍という高倍率の観察性能を実現し、日本の顕微鏡技術に発展をもたらしました。「JOICO」は、当時の社名の英名「Japan Optical Industry Co.」の頭文字に由来します。
ニコンは1917年に光学機器の国産化を目指して設立され、1921年にハインリッヒ・アハトらドイツ人光学技術者を招聘し、国際水準の光学設計技術を導入しました。
JOICO顕微鏡は、その高倍率の観察性能を実現する為に、アハトの指導のもと対物レンズと接眼レンズが設計され、高精度な極小レンズ加工や組立調整などを日本の熟練技術者達が手作業で実現しました。
開発当時は国際情勢の影響により量産化には至りませんでしたが、JOICO顕微鏡の開発時より培われた設計思想と熟練技術は現在の製品設計および生産にも生かされています。
CFシステム(バイオフォト)
CF(Chromatic Aberration Free)システムは、ニコン(当時:日本光学工業株式会社)が1973年に開発に着手し、1976年に研究用生物顕微鏡バイオフォトにはじめて採用した光学設計思想です。
従来の顕微鏡は、19世紀末に確立されたコンペンセーション方式により、対物レンズと接眼レンズの組み合わせで倍率色収差を補正していました。
CFシステムでは、対物レンズの倍率色収差を単独で補正する新しいレンズ構成で、性能と拡張性を向上させました。誕生した背景には、光学ガラスの溶解から完成品の製造まで一貫して手掛けてきたニコンの体制があります。対物レンズ単独で倍率色収差を補正するために必要な高度な技術は、JOICO顕微鏡やカメラ用レンズなど様々な光学機器を設計する過程で発展・蓄積されたものでした。CFシステムおよびその後継のNCF光学系を採用した製品は、医学・生物・工業の各分野や教育現場で広く使用され、長らく世界のトップの座についていたドイツ製顕微鏡との差を縮め、日本の顕微鏡の世界的地位を大きく高めることにつながりました。
ニコン ヘルスケア事業部長 園田晴久のコメント
ニコンの光学顕微鏡は、科学・医学用途から工業用途に至るまで様々な分野で幅広く活用されています。当社は時代ごとの課題に向き合いながら、独自の発想と技術力によって顕微鏡の進化を支えてまいりました。今回の顕微鏡遺産への認定は、これまでの取り組みと技術の蓄積が広く評価されたものと受け止めており、大きな喜びであると同時にこれからの責任の重さを改めて認識する契機でもあります。
顕微鏡技術は長い歴史の中で、常に光による可視化の新しい可能性を追い求めてきました。そうして拓かれた視野は、新たなインスピレーションを生み、未来に向けた新たな科学的発見や製品開発などへとつながっていきます。私たちは今後も、光学技術を基礎に革新的なソリューションを着実に提供し続けていきます。
ニコン ヘルスケア事業について
ヘルスケア事業部は2017年、医療機器を扱う「メディカル事業推進本部」と生物顕微鏡などを扱う「マイクロスコープ・ソリューション事業部」を統合することで誕生しました。現在、「ライフサイエンスソリューション」、「アイケアソリューション」、「細胞受託生産ソリューション」の3つのソリューションを展開しています。
「ライフサイエンスソリューション」は、バイオサイエンスや医学の分野において、生細胞の構造や動きをナノスケールで観察する超解像顕微鏡その他で新たな知見の獲得などをサポート。また再生医療・創薬の分野では、細胞の品質を評価する細胞培養観察装置や細胞関連のサービスを通じて治療や新薬開発に貢献しています。
「アイケアソリューション」は、超広角走査型レーザー検眼鏡による高精細な網膜画像の取得を支援し、眼科領域における疾病の早期発見と治療に貢献します。さらに糖尿病などの全身疾患の早期発見にも可能性を広げています。
「細胞受託生産ソリューション」は、細胞生産プロセスをサポート。製造設備・オペレーション・品質管理システムで、製薬会社、バイオベンチャー分野に再生医療用細胞、遺伝子治療用細胞の受託開発・受託生産を提供し、再生医療の発展に貢献しています。
ニコンのヘルスケア事業は、イノベーションを通じて、人々のクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献しています。
関連リンク
ニコン公式サイト
ニコン事業部サイト
https://www.healthcare.nikon.com/ja/index.html
ニコンヘルスケア生物顕微鏡製品・サービス情報サイト
https://www.microscope.healthcare.nikon.com/ja_JP/
ニコン顕微鏡事業100周年特設ページ
https://www.microscope.healthcare.nikon.com/ja_JP/joico-100th
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