肝細胞
かんさいぼう
hepatocyte

肝細胞とは、肝臓の約6割を占める細胞で肝実質細胞とも呼ばれます。この細胞はタンパク質合成、タンパク質・炭水化物・脂質の代謝、薬物の解毒作用など様々な働きをしています。肝臓は再生能力をもつため、肝障害を患ったり、肝切除等を行った後も機能が回復し、生体の恒常性を維持することができます。肝細胞の培養は、肝臓の機能・性質の把握や、更なる機能解明、薬物代謝などを調べるために有効です。
ヒト肝臓由来培養肝細胞は、生理学や病理学など様々な分野で利用されています。特に、肝細胞は、薬物などを解毒でき、活性レベルが高いシトクロムP450(CYP)酵素を含んでいるため、医薬品開発において、細胞毒性スクリーニングのツールとして利用されています。しかし、細胞増殖能や供給元の限定、それらによるロットごとのばらつきや機能の違いなど、多くの課題があるのが現状です。そのため近年では、hPSC(ヒト多能性幹細胞)から分化誘導した肝細胞を活用する方法が研究されています。多能性幹細胞から肝細胞へ分化誘導すると、徐々に明確な丸い核を持つ多角形な細胞に変化していきます。
近年、開発が進んでいるMPSに充填する細胞として、iPS細胞由来分化細胞が期待されています。ヒト臓器から採取された細胞は機能的にも表現型的にも成熟しており、MPSに使用する細胞として適しています。しかし、量が限られ、ロット差があります。iPS細胞由来分化細胞は、健康なヒトから特定の疾患のヒトからも採取することができ、無限の細胞ソースであるため、様々な分化細胞への安定した誘導法の確立が期待されています。

参考文献

Hargrove-Grimes P, Low LA, Tagle DA. Microphysiological Systems: Stakeholder Challenges to Adoption in Drug Development. Cells Tissues Organs. 2021 Aug 11:1-13. doi: 10.1159/000517422. Epub ahead of print. PMID: 34380142.

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