iPS細胞リプログラミング効率の自動測定により作業効率と精度を改善
ポイント
iPS細胞系樹立工程において、コロニーの形態情報をもとにリプログラミングされた細胞のコロニーであるかを識別することにより、その効率を測定し、リプログラミング条件を評価することができます。
概要
iPS細胞の樹立時において、観察しているコロニーがリプログラミングされたものであるかどうかの判定は、一般的に目視で行われています。この方法は、作業者の経験に依存するため判断基準にばらつきが生じやすく、その結果、細胞の品質が安定しないことや、人手と時間がかかることが問題となっています。また、AP染色で未分化細胞を判定する方法もありますが、侵襲的な方法であり、かつ染色度合いに差が生じるため、非侵襲で迅速かつ正確に評価できる別の方法が望まれています。
課題
課題
リプログラミングの判定が不安定
作業者の経験に基づいた判断が行われているため、作業者によって基準がばらつきやすくなります。
課題
高額な試薬コストと、細胞へのダメージ
リプログラミングを検出する試薬を用いれば判定がより正確になりますが、細胞を生きたまま染色する試薬は非常に高額であり、細胞にダメージを与えてしまう可能性があります。
課題
人的、時間的コストが大きい
条件をいくつか振って検討する条件最適化実験では、計測しなければならないサンプルの数が多いため、人的コストや作業時間が膨大になります。
課題
染色した細胞は継続観察できない
従来の染色による確認方法は侵襲的なため、一度染色してしまうとその細胞やコロニーは以降の培養に使えなくなります。
ソリューション
コロニーの位相差画像を解析することで、リプログラミングの効率を数値化し、リプログラミング条件を評価することができます。あらかじめ設定された判定基準を用いて位相差画像を解析することで、培養の早い段階からリプログラミングされたコロニーを正確に抽出することができます。そのコロニー数をカウントすれば、リプログラミング効率を算出することが可能です。位相差画像を用いた非侵襲的な観察方法のため、貴重な細胞のロスを防ぎ、経時的な測定を実現します。
この評価のためには、タイムラプス撮影により経時的に画像取得をする必要があります。インキュベータ内に設置した細胞観察装置「BioStudio-T*」を用いれば、iPS細胞に培養環境変化の影響を与えず、長期間にわたり細胞の位相差画像を撮影することができます。
*製品の生産は終了しています。細胞培養・アッセイに関して、また製品についてのご質問等は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。画像解析ソフトウェア「Cell Analysisモジュール」の製品情報はこちら
活用シーン
工程構築や試薬開発における、iPS細胞リプログラミング工程とその最適化検討に
お客様の声
課題としていた作業効率だけでなく、
研究精度も飛躍的に向上
導入前は、直径100mmの培養皿あたり約150個もあるiPS細胞コロニーを何枚分も目で見分けて計測していたため、時間がかかり作業負担が大きかったです。それだけでなく、人に依存する計測方法によるデータの信頼性という面でも課題がありました。そこで、作業効率を改善させるため画像解析ソフトウェアを導入することにしました。
ニコンさんは、微細かつ複雑な細胞形態の解析にもカスタマイズ対応してもらえるので、我々の要求を盛り込んでもらいながら精度高く作りこんでもらいました。導入後は、大量のコロニーを一定基準で判別できるようになり、効率面だけでなく研究精度も飛躍的に向上しました。今後の研究でも細胞の微妙な差異を解析して、新しい知見が得られると期待しています。
画像解析ソフトウェアNIS-Elements Cell Analysisモジュール
画像解析ソフトウェアNIS-Elements Cell Analysisモジュール
蛍光や共焦点画像解析で実績を積み上げてきたNIS-Elementsに、 細胞観察装置の開発を通じて蓄積したノウハウを元に位相差画像解析の精度を加えた画像解析ソフトウェアです。
画像解析の技術と品質評価のノウハウで
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