hPSC由来神経細胞の非侵襲画像解析により長期の神経毒性評価が可能に

hPSC由来神経細胞の非侵襲画像解析により長期の神経毒性評価が可能に

ヒト人工多能性幹細胞(ヒトiPS細胞)から神経幹細胞(NSC:Neural Stem Cell)への分化誘導の過程にバルプロ酸(VPA)を添加し細胞培養を行いました。培養過程の位相差画像を用いて形態評価を行い、バルプロ酸の分化誘導に与える影響を検討しました。

ポイント

化学物質が細胞に与える影響は、実際に細胞を用いて検討してみなければわかりません。影響は経時的に変化するため、エンドポイントだけの評価ではなく、時間とともにその作用を観察することにより薬剤が細胞に与える正確な影響を検出できます。

概要

ヒト胚性幹細胞(ヒトES細胞)ヒト人工多能性幹細胞(ヒトiPS細胞)などのhPSC(ヒト多能性幹細胞)は、in vitroDNT(発生神経毒性)を評価するための有望な新しいツールになる可能性があります。hPSCを用いたin vitro DNTテストは、「3Rの原則」*の理念として提案されています。ここでは、生細胞イメージング(ライブセルイメージング)技術を用いた、in vitroでの化学物質に対する細胞の反応を正確に監視するための新しいアッセイ方法をご紹介します。
*「3Rの原則」
動物実験の基本理念で、Replacement(代替法の利用)、Reduction(使用数の削減)、Refinement(苦痛の軽減)を指す。
W.M.S. Russell & R.L. Burch(1959):人道的動物実験の原則(The Principles of Humane Experimental Technique)によって提唱。2005年の動物愛護管理法改正において、3Rの原則が第41条に明文化された。

課題

課題
従来の実験動物を用いたin vivo毒性アッセイだけでは、ヒトへの影響が正確に予測できない

従来の発生過程における毒性予測は、実験動物を使用して検証されています。しかしながら、動物とヒトでは、化学物質の影響が異なることがしばしばあり、正確な毒性の予測は困難でした。この問題点を解決するため、近年ではhPSCを用いたin vitroアッセイ系が注目されています。

課題
発生過程への影響は、細胞毒性評価に加え、分化に及ぼす化学物質の影響を確認しなければならない

化学物質がヒトの発生過程に与える影響を考えるためには、細胞毒性だけではなく、細胞の分化に及ぼす影響を検証する必要があります。そのため、分化過程を経時的に観察し、どのタイミングで化学物質の影響が発現するのか、注意深く観察する必要があります。

ソリューション

化学物質を添加した条件で、ライブセル観察をすることにより、分化への影響を正確に検出することが可能です。ライブセル観察を行い、画像解析で評価することにより、分化過程に与える化学物質の影響を、経時的に評価することが可能です。また、細胞毒性だけではなく、細胞の分化に与える影響を評価することが可能です。さらに、どのようなタイミングで毒性が発現するのかを確認することも可能です。画像解析ソフトウェア「Cell Analysisモジュール」の製品情報はこちら

人工多能性幹細胞から神経幹細胞への分化過程に及ぼすバルプロ酸影響

ヒトiPS細胞から神経幹細胞への分化過程に及ぼすバルプロ酸(VPA; 0.1–2.4 mM)の影響を検討しました。69時間後の形態を用いて評価を行いました。

活用シーン

  • 幹細胞(ステムセル)に及ぼす化学物質の影響の検証
  • 幹細胞に及ぼす環境物質の影響の検証
  • 新規薬剤の安全性評価

出典

PLoS One. 2013;8(1):e54122
NIBIOHNとの共同研究成果の一部を活用しています。

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