核染色
かくせんしょく
nuclear staining
核染色とは、細胞内の核だけを染色することです。培養細胞は一般的に無色透明のため、生きている状態では位相差顕微鏡などを使って観察します。1個以上の核を有する多核の細胞もありますが、一般的には細胞に核は一つです。細胞の形や大きさ、免疫染色においてマーカー蛋白質の発現などの所在を明確に確認するため、一般的に、核を染色して細胞1個としての指標に使います。
核には核酸が多く含まれるため、核酸に結合する試薬が用いられます。核染色の色素は、生細胞の核を染色できるものと、固定して核膜を処理して透過させないと染色できないものとがあります。固定して蛍光免疫染色を行う場合、核染色剤としてはDAPIが挙げられます。また、フローサイトメーターを用いた測定においては、ヨウ化プロピジウム(PI: Propidium Iodide)が使用されます。生細胞を染色できるものとしては、HoechstやSYTO®が挙げられます。しかし、細胞種、培養条件や染色剤の使用濃度、また、観察の際に使用する光の波長によって毒性を示すこともあるため、事前に検証が必要です。
一方で、近年、AIが発展してきており、画像解析の手法にもAIが取り入れられるようになりつつある。AIを事前にトレーニングすることで、無染色画像から核領域を検出し、デジタル上で疑似染色(ステイン)するデジタルステインの手法も開発されています。