シロイヌナズナ (Arabidopsis thaliana) の花のめしべ
サンプル詳細:蛍光タンパク質(mApple, Venus,
mTFP1)標識花粉管、ClearSeeによる透明化
観察手法:2光子励起顕微鏡、蛍光
観察倍率:25X
撮影年:2015年
水多 陽子 特任助教
物質中の光の伝播を記述する物理量のひとつ。屈折率の差が大きいほど光が散乱する。
花粉がめしべに付着すること。
花粉から発芽し、伸張する管状の細胞。
葉緑体に含まれ、光合成に関わる色素。
細胞や組織に元から存在している物質に由来する蛍光。
植物の固定および透明化に伝統的に用いられている水溶液。
励起光を当てると蛍光を発するタンパク質。GFPは緑色蛍光タンパク質のこと。
Q:透明化試薬ClearSeeはどのような技術的背景があり開発されたのですか?
A:植物用の従来の透明化試薬には、構造にダメージを与える、蛍光タンパク質が消失するなどの問題点がありました。近年、動物分野ではScale 溶液やSeeDBなどの透明化法が開発されました。そこでこれらを参考に、上記問題を解決する、植物に最適化した透明化試薬ClearSeeが開発されました。
Q:透明化試薬ClearSeeで透明化が難しい植物はありますか?
A:溶液の浸透しない堅い組織を持つ樹木や、水をはじく表面構造を持つ植物は透明化が難しいです。
Q:花粉管が、束のような構造から下に行くにつれ、同じ花粉由来の花粉管で収束しているのはなぜですか?
A:画像はめしべの奥に向かって撮影した複数の画像のうち、内部がよく分かるよう手前側を除き、奥側のみを合成しています。収束したように見えるのは、手前側の花粉管の像が除かれているためです。
Q:クロロフィル以外にイメージングの妨げになる物質はありますか?
A:細胞壁に含まれるリグニン(高分子のフェノール性化合物)が妨げとなります。