 
          - ※本コンテンツでは、当社製品が紹介されていますが、当社製品は日本国内において医療機器ではありません。また、当社製品についての医療従事者のコメントが記載されていますが、当社製品の効能、効果及び性能を保証するものではなく、また、当該医療従事者が当社製品を公認し、推せんし、指導し、または選用していることを示すものでもございません。
私たちの身近にある“こころと脳の病気”。年々増加する精神神経疾患は、加齢にともなうアルツハイマー病やパーキンソン病などの脳神経の疾患だけでなく、自閉症やうつ病などの精神の疾患も含まれます。
この問題に取り組む、スイス、ローザンヌ大学病院(CHUV:CENTRE HOSPITALIER UNIVERSITAIRE VAUDOIS)の精神神経科学センター(CNP)。世界中の人々の健康と幸福のために、研究者と臨床の架け橋としての役割を果たし、精神神経疾患の解明と効果的な治療法の開発に挑む彼らの研究に、ニコンの顕微鏡が貢献しています。
 
          研究を臨床に役立てる2つの取り組み
 
            精神神経科学センター(CNP)
学部長 ピエール・マルケ教授
*役職・所属等は取材当時のものです
精神神経科学センター(CNP)は、精神神経学において、自閉症、統合失調症、双極性障害(そううつ病)、うつ病、不安障害、依存症、アルツハイマー病など幅広い疾患を対象に、研究の成果を臨床へと橋渡しするトランスレーショナル研究※1の拠点です。CNPの役割は疾患の根底にある神経生物学的メカニズムを解明し、これらの発見を患者様の治療につなげることにあります。
「CNPは研究者と臨床医のつながりを強化し、精神神経学に関する研究が、臨床の現場に役立てられやすい環境を生み出しています」とマルケ教授は語ります。
CNPでは相互補完的な2つの取り組みによる研究を行っています。そのひとつは、精神疾患の症状を引き起こす根底となる生物学的メカニズムを解き明かす“基礎研究”。そしてもうひとつは、臨床の現場と連携し、従来の生体サンプルだけでなくMRIや脳波、認知検査など、さらに詳しく患者様を調べ、その臨床データと生物学的データをまとめる“患者指向型研究”です。
この2つの補完的な取り組みによって、臨床研究に生物学的要素を導入し、症状が現れる前の段階でリスクを予測できる、信頼性の高いバイオマーカー※2の特定を進めています。またこの研究は、予防を目的とした個別の治療法の提案を可能としたり、新しい治療法の開発や創薬の研究・開発を促進することも期待されています。
- ※1トランスレーショナル研究:基礎研究の成果を臨床応用へと橋渡しすることを目的とした研究分野。患者の治療や診断に直結する知見を生み出すことを目指す。
- ※2バイオマーカー:疾患の有無、病状の変化や治療の効果の目安となる生理学的な指標(血圧、心拍数、心電図、血液中のタンパク質など)。
CNPの研究に貢献する、ニコンのECLIPSE Ji
 
            精神神経科学センター(CNP)
神経科学顕微鏡アンバサダー(ニコン)
研究室長 ケビン・リシュタン
*役職・所属等は取材当時のものです
「“基礎研究”と“患者指向型研究”という、2つの補完的な取り組みをより効果的にするツールが、ニコンのデジタル倒立顕微鏡 ECLIPSE Jiです」とリシュタン室長は語ります。
ECLIPSE Jiは、細胞単位からより広範囲のデータまで、豊富な画像・解析データを取得できます。また、さまざまな解析方法での観察が可能なため、主要な精神神経疾患の生体動物モデルおよび培養細胞モデルの研究を可能にしています。また、観察から解析まで多くの作業をAIが補助するため、研究の効率化にも貢献します。さらに、イメージングに求められる各種機能を備えた画像処理ソフトウェア(NIS-Elements)で、対象サンプルの画像取得と解析を自動で行えます。これによって実験の再現性とトレーサビリティを向上させています。
また、リシュタン室長は「ニコンのECLIPSE Jiは、さまざまなイメージングの方法を組み合わせることで、複雑な疾患のさまざまな側面をより正確に捉えることができ、今後の研究の進展にともなう、新しいニーズにも柔軟に応えてくれるでしょう」とお話しくださいました。
 
                 
                 
                (青:細胞核、緑・赤:介在ニューロン)
 
                (青:細胞核、緑:海馬アストロサイト、赤:アストロサイトのサブ集団)
患者様に最適なオーダーメイドの治療を
早期発見と個別化された治療法を組み合わせることで、より効果的な患者様のケアが可能になります。
「私たちは、顕微鏡が精神神経医学のための主要なツールであると思っています。顕微鏡を活用することで、将来的には早期の診断と個別の治療を可能にすることを夢見ています」とリシュタン室長は語ります。また、マルケ教授は「ニコンの顕微鏡と人工知能の融合により、これまでにない形で脳の細胞や組織を観察できる日がやって来ます。それは、患者様一人ひとりに合わせた個別治療の実現につながるのです。」とお話しくださいました。
 
            マルケ教授とリシュタン室長からは、私たちニコンが、技術的な性能向上と高度な自動化を柔軟に活かしながら、顕微鏡を革新し続けることに、期待をいただいています。そして最後にリシュタン室長から「私たちはニコンを社会の大きな課題である精神神経疾患の分野における進歩への道を切り拓くためのパートナーであると考えています」という心強いコメントをいただきました。
ニコンはこれからも研究者を支え、ともに歩み、持続可能な未来の構築に貢献します。