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主に全国の高校生たちが生物学の知識と経験を競う、日本生物学オリンピック。毎年開催され、予選を勝ち抜いた選手たちが本選に進みます。2025年は、東京都立大学の南大沢キャンパスでの本選となりました。優秀な成績の選手には賞が授与され、さらにその中から翌年開催される、国際生物学オリンピックの日本代表候補が選ばれます。文部科学省や、さまざまな企業・団体が教育の質の向上を目指し、産学官連携で支援する本大会をニコンもサポートしています。
全国予選を勝ち抜いた60名の選手たちが競う
理学博士 福田 公子准教授
*役職・所属等は取材当時のものです
国際生物学オリンピック(IBO: International Biology Olympiad)は、20歳未満で大学に入学する前の青少年を対象とする競技会です。1985年の国際生物学コンテストが源流で、現在は全世界の80以上の国や地域の代表が、生物学の理論試験と実験試験に挑みその結果を競います。生物学への興味、創造性、忍耐力が必要とされます。日本では過去2回、つくばと長崎で開催されました。
「日本生物学オリンピック、略してJBOはその日本版ともいえるものです。今回は約1,600名が参加した予選を勝ち抜いた、60名が本選の理論試験と実験試験に挑みました。
さらにこの大会は、翌年開催されるIBOに派遣される日本代表選手候補の選考会も兼ねています」とお話しくださったのは、東京都立大学で生命科学の研究と学生への講義・指導を行っている福田先生。今回、当大学で開催されたJBO 2025 の実行委員長を務めました。先生は、国際生物学オリンピック(IBO)2009のつくば大会、2019のハンガリー大会にスタッフとして参加し、IBO2020の長崎大会では試験問題の作成にも携わっています。
挑み、学び、体験し、交流する真夏の4日間
日本生物学オリンピック2025 本選 東京大会は8月18日から21日まで、3泊4日の合宿形式で行われました。初日は開会式と理論試験、2日目は実験試験が行われ、3日目は大学での研究を経験する“研究体験”が実施され、その後、夕方からは選手たちと大会運営スタッフによる、総勢約100人での交流会が開催されました。そして最終日には表彰式・閉会式が行われ、厳しく楽しい4日間の日程を終えました。
特に、初日と2日目の試験は、ひとつの設問の制限時間が2時間におよぶものもあり、選手たちは知力、集中力、体力のすべてを出しきりました。
試験問題は大学の先生方が試行錯誤して作成し、また試験後には先生方から各設問に関する丁寧な解説が行われました。問題の作成や解説には、ニコンの顕微鏡や顕微鏡で取得した画像が役立てられました。
選手たちが6班に分かれて参加した“研究体験”では、植物や土壌、昆虫などを対象としたさまざまなテーマが用意されました。 “顕微鏡イメージング体験”では普段大学で利用いただいているニコンの顕微鏡システムなどによるサンプルの撮影や画像解析を体験してもらいました。スタッフによる講義の後、マウスの腎臓組織やミジンコ、クマムシのサンプルなどを対象に、選手自ら顕微鏡の調整、観察、撮影、画像解析、レポート作成など一連のイメージングを実施しました。
「今回の大会の特長として、大学での研究や実習の一端を味わってもらいたいと考えました。ニコンさんにご協力いただけると聞いたとき、ぜひニコンさんの顕微鏡で蛍光観察画像を撮る体験を実施していただきたいと思いました」と福田先生。さらに「最近の研究にイメージング技術は欠かせないものです。共焦点レーザー顕微鏡で見える世界の感動を選手のみなさんにも感じてほしいと思いました」と語ってくださいました。
生命科学専攻
髙鳥 直士准教授
*役職・所属等は取材当時のものです
そして、福田先生とともに大会の企画や試験問題作成などを担当し、この“研究体験”にも企画から参加された、東京都立大学大学院の髙鳥先生も「観察は研究の第一歩です。何をどのように観るのか。より深く顕微鏡を知ることで、より適切な観察のための選択ができるようになります。そして、人はどうやって顕微鏡による観察の可能性を拡げてきたのかを、ニコンの共焦点レーザー顕微鏡AXを通じて知ってほしいと思いました」とお話しくださいました。
そんなお二人の思いに応えるように、選手たちは顕微鏡を覗いて、これまで見たことのない蛍光観察の世界に驚き、画像を投影したモニターをみんなで見つめながら、正しい画像を取得し、正しい考察をすることが大切であることを実体験として学びました。
髙鳥先生は普段の研究や学生への指導に、ニコンの顕微鏡を使用しています。「現在A1とAXの両方の顕微鏡を使っています。A1は約12年使っていてカスタマイズも施し、私には右腕のような存在です。広い視野と高い解像度、対物レンズのバリエーションが多彩なことがありがたいです」というお言葉をいただきました。
日本代表候補者たちが、次は世界を目指す
表彰式では優秀な成績の選手に金賞、銀賞、銅賞を始め“東京都知事賞”などが授与され、今年は”ニコン特別賞”も授与されました。この賞は、ニコンの顕微鏡事業100周年を記念したもので、イメージングに関する設問で最優秀の成績であった選手に贈られました。
そして最後に、来年リトアニアで開催される、世界生物学オリンピック2026の日本代表候補者12名も発表されました。この中からさらに選び抜かれた4名が世界に挑みます。
大会では実に多くのスタッフが選手たちを支えていました。特に学生ボランティア組織であるSCIBO(Students Community of IBO: サイボ)のみなさんの活躍は、選手たちにとって大きな心の支えになっていました。メンバーには過去の生物学オリンピックの選手だった方も多く参加しており、大会進行のサポート、選手たちの引率、ときには生物学についての議論を交わす仲間として選手たちに寄り添っていました。
※JBO2018東京大会、IBO2019ハンガリー大会に参加
右が東京都立大学の大学院生で副代表の吉川 歩美さん
※赤いビブスが目印
最後に、今後の活動などについて福田先生に伺いました。「日本生物学オリンピックは日本では数少ない生物学に特化した教育イベントで、今後の科学の発展にとっても重要です。これからも活動に関わっていくつもりです」とお話しくださいました。また、生物学に興味を持つ若い人たちへのメッセージもいただきました。「私が研究者になったのは研究が楽しいからです。みなさんもぜひ研究を楽しんでください。そして楽しんでいる自分を大事にしてください」
次世代に向けて、ニコンはこれからも技術・製品・人材を通じて、青少年の教育や科学の発展を支え続けていきます。