コロニー増殖面積をモニターすることでhPSC培養条件を正確に評価

ポイント
hPSC(ヒトiPS細胞及びES細胞)の培養において、一つ一つのコロニーの面積を継続的に計測することは、細胞の状態や均一性を評価するための指標として重要です。
概要
未分化なhPSCは、クランプによる継代の場合だけでなく、シングルセルで播種した場合も、細胞が集まりコロニーを形成します。個々のコロニーは、できるだけ同じくらいの大きさであることが望ましいですが、クランプによる継代の場合には、クランプの大きさが異なるとコロニーの大きさがばらつきます。クランプによる継代の際にクランプが小さすぎると、大きくなるまでに時間がかかることもあります。また、隣のコロニーと融合して大きくなるものもあります。
未分化なhPSCは、形質が不安定であることが知られています。形質が変化した異常クローンは、細胞増殖が速くなる場合が多く、急に大きくなるコロニーが出現した場合には、注意が必要です。
個々のコロニーの面積の継続的な計測は、細胞の状態や均一性を評価するための指標として有用です。
課題
課題
同一コロニーの追跡が困難
細胞の染色等を用いない非破壊的な目視による観察方法では、毎日観察を行ったとしても、その観察間隔では、常に形状が変化するコロニーを継続して抽出し続けることは困難です。
ソリューション
位相差画像解析による非侵襲的な手法により、hPSCコロニーを自動認識し、各コロニーの面積を測定します。hPSCの位相差画像から画像解析により、コロニーを自動でマスキングし、各コロニーの面積を測定します。
インキュベータ内に設置した細胞観察装置「BioStudio-T*」を用いることにより、hPSCに培養環境変化の影響を与えず長期間にわたり細胞の位相差画像を撮影することができます。
*製品の生産は終了しています。細胞培養・アッセイに関して、また製品についてのご質問等は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。画像解析ソフトウェア「Cell Analysisモジュール」の製品情報はこちら

位相差画像解析によるヒトiPS細胞のコロニー領域の特定
左:位相差画像、右:画像解析によりマスクされた各コロニー(ランダムカラーで表示)
使用細胞株:ヒトiPS細胞Tic-FX(JCRB細胞バンク, JCRB1331.01, MRC-5由来, フィーダーフリー培養に適応させたTic細胞(JCRB1331)の亜株)

iPS細胞コロニーサイズの分布。得られた計測数値 (μm2) をmm2単位に換算して表示した。
活用シーン
培養プロセス構築のための評価指標に
- 培養条件の妥当性検証(培地組成、継代方法、作業者間の手技のばらつきなど)
- 細胞株間の増殖性の比較
参考文献
Stem Cells Transl Med. 2015;4 (7):720-30
PLoS One. 2013;8(1):e54122
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