MSCの継代タイミングのばらつき軽減のためにコンフルエント率を数値化

ポイント
ヒト体性幹細胞の培養において増殖能を定量化して把握することは、培養細胞の状態を客観的に評価するための指標として重要です。
概要
MSC(間葉系幹細胞)をはじめとするヒト体性幹細胞は、継代を経ることで増殖能が低下し、最終的に分裂停止に至ることが知られています。このため、培養中の細胞の経時的な増殖能を把握することは、細胞の品質管理に有用です。
また、多くの場合において、細胞の継代はコンフルエントに達する前の、培養面の70〜80%を細胞が占めるサブコンフルエントの状態になったタイミングで行われるのが望ましいとされています。その判断は通常目視で行われており、作業者によって判断が異なることもあります。これらの課題を解決するためには、客観的な指標により細胞占有面積率を数値化することが有効です。
課題
課題
継代タイミングの判断がばらつく
通常はサブコンフルエントを作業者が目視で判断しているため、作業者によって基準が異なることがあります。
課題
サブコンフルエントになるタイミングの予測が不確定
初代培養細胞はロットによって増殖速度が一定ではありません。また継代数によっても増殖速度は一定ではないため、サブコンフルエントになるタイミングの予測が困難です。
ソリューション
位相差画像解析による非侵襲的な手法により、MSCが培養容器中に占める面積の割合(細胞占有面積率/コンフルエンシー)を数値化します。MSCをはじめとするヒト体性幹細胞の位相差画像から、画像解析により細胞が占めている領域を特定し、面積を自動で算出します。細胞占有面積が観察画像上でどれくらいの割合を占めるかを計算することにより、細胞占有面積率を算出することができます。
インキュベータに顕微鏡とカメラが内蔵された細胞培養観察装置「BioStation CT」またはインキュベータ内に設置した細胞観察装置「BioStudio-T」を用いることにより、細胞に培養環境変化の影響を与えず長期間にわたり細胞の位相差画像を撮影することができます。タイムラプス撮影により経時的に画像取得を行えば、細胞占有面積率の増加曲線を作成することができます。画像解析ソフトウェア「Cell Analysisモジュール」の製品情報はこちら細胞培養観察装置「BioStation CT」の製品情報はこちら細胞観察装置「BioStudio-T」の製品情報はこちら

位相差画像を用いた非侵襲的画像解析によるMSC細胞占有領域の測定(骨髄由来間葉系幹細胞UE7T-13 株(JCRB1154))
細胞密度が異なる画像においても、細胞仮足を含めた細胞領域の検出が可能。
左:位相差画像、右:画像解析による細胞占有領域の検出
上:低密度、下:中密度
活用シーン
培養プロセス構築のための評価指標に
- 培養条件の妥当性検証
- 使用可能な継代数や分裂回数の把握、培地組成、継代方法など
- 形質転換による異常増殖細胞の検出
- 培養環境の妥当性検証(温度、酸素濃度など)
- 細胞株間の増殖性の比較
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